道端で、キバナコスモスが風に揺れている。4年前に亡くなったシンガー・ソングライターの加川良さんの名曲「コスモス」を思い浮かべた。こんな詞だ。〈冬に開く花あれば 夏の日射しにもえる花 垣根の中で咲く花や 野辺にゆれる花もある〉。季節は巡って猛暑だった夏も終わり、あすから9月。初秋を迎えている。
新型コロナウイルス感染症の取材を札幌で始めて、気が付けば1年7カ月が過ぎた。先日は鈴木直道知事の深夜の記者会見の取材を終えて乗ったタクシーで、年配の運転手から歓楽街・ススキノの惨状を聞いた。長期化し繰り返される休業・時短要請の影響で、随分、店が減っているという。タクシー業界も夜の利用客が激減し、若手ドライバーの転職も加速。さまざまな業界から悲鳴が上がっている。
道内でもデルタ株(インド由来の変異株)が猛威を振るい、感染拡大の「第5波」の真っただ中。27日からは緊急事態宣言が発令された。ただ、特措法に基づく宣言は3度目。札幌市民からは「やってることが同じ。緊迫感がない」「また同じ繰り返し」と冷めた声も聞かれる。
知事も「まん延防止等重点措置」と緊急宣言の措置内容に大差がないことを疑問視。「緊急事態措置をより実効性あるものに」と再三見直しを訴えるものの、国の動きは鈍い。政界では自民党総裁選、そして衆院選と進む。菅義偉政権のコロナ対策の是非が、最大の争点になることは言うまでもない。(広)









