東京五輪の閉会式や東京パラリンピックの開会式のテレビ中継に音声言語を手話で伝える「手話通訳」が登場したことをきっかけに、手話への注目が高まっている。視覚言語の豊かな表現力や分かりやすさが改めて多くの人に認知され、苫小牧市内の聴覚障害者からは「聴覚障害への正しい理解も広がれば」と期待の声が上がる。
手話は手や指、腕、顔などを動かして言葉を伝える視覚言語。近年、テレビのニュース番組でも手話通訳を付ける場面が増えている。
8月8日の東京五輪閉会式と24日の東京パラリンピック開会式の中継にも手話通訳者が登場。式典内での関係者あいさつを手話で伝える様子などが評判を呼び、短文投稿サイトのツイッターで「手話の人」という言葉がトレンド入りするなど大きな話題となった。
こうした状況を市内の聴覚障害者も注目。市障がい福祉課ろうあ者生活相談員を務める中村晴美さん(44)は手話通訳の付いた五輪閉会式を楽しんで見ることができたといい、「多くの人に手話への関心を持ってもらうきっかけにもなったのでは」と話す。「関心を持った人の中からさらに、手話でコミュニケーションを取ろうとしてくれる人が増えてくれれば」と期待する。
苫小牧聴力障害者協会役員で、市主催の手話奉仕員養成講習会の講師、佐藤由香さん(58)も買い物の際などに障害への無理解に困惑する場面があったといい、「身ぶりや指差ししてもらえるだけでも、こちらが意思表示しやすいことも多い。手話への注目で聴覚障害への理解も広がってくれれば」と語る。
「手話言語条例」を制定した苫小牧市は毎年、市民向けの手話奉仕員養成講習会を開いており、今年も8月に開講し、13人が受講している。受講者も手話への関心の高まりを感じている様子で、森本ナナさん(54)=柳町=は「手話の良さを自分も周りに伝えていきたい」と笑顔。難聴の息子とのコミュニケーションのため、受講しているという入江栄子さん(45)=緑町=も「手話を学ぶ上での励みになる」と述べた。
一方、手話通訳者の高齢化は大きな課題。市内には現在、約20人の手話通訳者が登録しているが、次代の担い手育成が急がれている。市障がい福祉課の専任手話通訳員吉田里美さん(57)は「注目を集める現状を追い風に、手話通訳者が増えるとうれしい」と言う。
今年度の手話奉仕員養成講習会の参加者募集はすでに終了しているが、市は障害特性などを学べる「あいサポーター研修」の中に手話言語条例に関する講話も盛り込んで簡単な手話や指文字などを紹介。研修は町内会や企業、学校などの依頼を受けて随時実施しており、同課は「手話や聴覚障害を知る第一歩として、研修を積極的に活用してほしい」と呼び掛ける。
あいサポーター研修に関する問い合わせは同課 電話0144(32)6356。
















