白老町で地域振興の事業に取り組む「合同会社WakuWaku(わくわく)しらおい」が、大学研究者らから熱い注目を集めている。人材や食材、自然といった地元の宝でビジネスを生み出したり、事業化の機運を地域住民に広げたりする活動がまちおこし先進事例となり、視察も相次いでいる。15日には同社代表の林啓介さん(39)と大学研究者らが持続可能な地域づくりをテーマにオンライン討論会を予定し、参加者も募っている。
貿易関係の仕事をしていた岡山県出身の林さんは、ロシア出身の妻オルガさん(36)と共に2018年、白老町へ移住。夫婦で地域おこし協力隊員となり、ゲストハウス(民泊)の経営、白老の日常を旅行者に体験してもらう観光プログラムの運営、オリジナルブランド「Green Owl(グリーンオウル)」商品の開発など地域振興の事業を次々に創出した。昨年8月からは地元の女性高齢者らが料理の腕を振るう地域食堂グランマ(大町)を経営。今年3月には本格的な事業展開に向けて会社を設立し、新たにシェアオフィスの運営にも乗り出した。
また、SNS(インターネット交流サイト)を通じて、地域住民とさまざまな情報を交換。交流の中からヒントを得て商品開発、イベント開催など住民の自発的活動につなげている。
人材や食材、風土、文化といった地元資源を発掘し、住民がつながりながら事業を創出する動きは、地域創生のモデルケースとして各方面から関心を集めている。大学関係者の視察も相次ぎ、これまでにカナダやオーストラリアなど海外の大学や早稲田大、立教大、北海学園大など国内大学の教授や学生らが白老町を訪れ、取り組みを学んだ。
どのまちも共通の課題となっている人口減少と高齢化。持続可能なまちをつくるために、林さんは「地元の力を引き出したり、組み合わせたりして事業を生み出し、地域経済や暮らしを元気にしていくことが重要」と言う。住民自らが郷土の魅力に気づき、それを生かしてまちを成長させていこうとする営みが、定住人口や関係人口を増やすことにもつながる―と強調する。
15日のオンライン会議システムZoom(ズーム)を使った討論会では、林さん夫妻や早稲田大の金井景子教授、グランマでスイーツ開発に携わった名古屋外国語大の学生島村美鈴さん(22)がメインとなって、白老町の活動事例をベースに地域づくりについて話し合う。時間は午後8時から2時間程度で、Zoomの参加者(30人)や、討論会の見学者(会場グランマ、定員10人)を募集している。申し込みはWakuWakuしらおい 電話0144(85)2870。

















