苫小牧市は、火事で焼け残り、倒壊など著しい危険の恐れがある市内柏木町の「特定空き家」について、相続人がいないことを踏まえ、初めて法的処分に乗り出す。民法上の相続財産管理人制度を活用し、市が「利害関係人」として相続財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立てる。同管理人を通じて建物と土地を売却し、売却先に解体してもらうことで、市費の負担を抑え、空き家の危険を取り除く狙いだ。
対象物件は同町3の木造2階建て住宅。2020年1月の火災で内部が全焼し、1人暮らしをしていた住民は亡くなった。市は建物の危険性を考慮して、同4月に「特定空き家」と認定。さらに親族が同10月に相続権を放棄し、地域住民から不安の声も上がっていたため、法的措置を決断した。空き家関連の法整備が進み、自治体が認定した「特定空き家」について、自ら相続財産管理人の選任を申し立てられるようになったことも追い風となった。
市は裁判所への予納金など関連経費約100万円を盛った一般会計補正予算を9月の市議会定例会で成立させた。申し立ては今月末までに行い、11月までに相続財産管理人が選任される。権利関係を確定させるための公告期間を含め、同管理人による建物と土地の売却、売却先による解体工事が終わるまでには1年ほどかかる見通し。
市市民生活課は「市が建物を解体することになれば、費用の回収は難しい。市費の投入を最小限に抑えるために、法的措置を活用するのが最善と考えた」と説明している。
柏木町町内会の柳谷昭次郎会長は法的手続きが始まることを歓迎し、「地震や強風などで何か被害が出ないか、心配している。近くに散歩道や幼稚園もあり、早く対処してほしい」と話した。
















