農業活性化とリサイクル実現へ 食品残さで土壌づくり 東胆振グレインファーム

農業活性化とリサイクル実現へ 食品残さで土壌づくり 東胆振グレインファーム
メタン発酵残さを使った土壌づくりの実演会=16日、厚真町鹿沼

 厚真町鹿沼の農業経営「東胆振グレインファーム」は、残った食品をメタン発酵させて作った堆肥による土壌づくりを普及させる取り組みを進めている。産業廃棄物として都市部で大量に排出される食品残さはバイオマス発電所などで活用されており、道内の畑でも再利用することで、農業の活性化や食品リサイクルの実現が期待できそうだ。

 作物の収量、品質を確保するためには土の管理が重要となる。厚真町の特に南部地区は火山灰の「痩せた土地」が多く、土壌づくりに大きなコストが掛かる。加えて3年前の胆振東部地震で155ヘクタールの農地が土砂に覆われ、土砂の撤去後は農地の復興、生産力の回復が課題となっている。その一方で、痩せた土は土壌還元力が高いとされ、同社は有機物の継続施用による土壌改善の効果を模索してきた。

 同社の長門茂明社長は「捨てられる食品を畑で生かせるのでは」とコンビニエンスストアの廃棄弁当やパンくずなどを原料にしたメタン発酵残さを堆肥代わりに使えないかと検討。昨年からトウモロコシ栽培で試験的に取り入れたところ、メタン発酵残さを混ぜた土の方が、葉の色や大きさ、草丈の生育が従来より良好だったという。

 町産業経済課の担当者は「堆肥は使う際に臭いなどの問題があるが、他の有機汚泥と比べて臭いはきつくなかった」と分析し、「今後、道内のトウモロコシ栽培を広げていく上で有効な堆肥になるのでは。有機肥料の一つとして実績ができれば、利用する農業者が増えていく可能性もある」と期待を寄せた。

 長門社長は「普段口に入れる食べ物をメタン発酵させているので、安全な堆肥。流通コストや循環システムなどまだ課題はあるが、道をはじめ行政とも調整していきたい。廃棄物を食品に変える事業として組み立てていけたら」と話していた。

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