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 新型コロナウイルスの緊急事態宣言が30日ですべて解除される。新規感染者数が大きく減った理由について、政府の分科会メンバーでもある専門家は、一人一人がどういう状況、環境で感染しやすいのかを正しく判断し、リスクを下げる行動を取れるようになったこととワクチン接種の効果を挙げていた。だが、人の流れがさほど大きく減ってはいないのに、急激に減少した理由としてはうなずけない部分もある。減少の理由がはっきりしなければ、またいつ急増してもおかしくない、ということでもある。

 文化庁が発表した2020年度「国語に関する世論調査」によると、コロナに関連して使われる言葉八つのうち「そのまま使うのがいい」とした人が6割を超えたのは「不要不急」「コロナ禍」「3密」「ステイホーム」、5割以上6割未満が「濃厚接触」「ソーシャルディスタンス」「クラスター」。唯一、半数以上の支持を得られなかったのが「ウィズコロナ」。「説明を付けた方がいい」「他の言い方をした方がいい」を合わせると7割近くに上った。残念ながら、どういう言い方ならいいか、という問いはない。

 「ウィズコロナ」の不評は、分かりづらさに加え、「コロナと共に」暮らさなければならない社会を受け入れたくない気持ちを反映しているのかもしれない。だが、冬にも第6波の到来が予測され、コロナが存在する日常はまだ続く。「他の言い方」を真剣に考えたい。(吉)

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