白老町で15日から、「白老文化芸術共創―ROOTS(ルーツ)&ARTS(アーツ)SHIRAOI」と銘打った文化芸術プロジェクトがスタートする。文化庁と地元の実行委員会などが主催し、日本の美や文化を世界にアピールする国家的事業「日本博」の一環として企画。アーティストが地域の自然や歴史、文化に触発されて生み出した作品の展覧会、インターネットラジオの配信などを展開する。アートを通じ白老の魅力ある地域資源を国内外に発信し、まちの活性化や観光振興につなげる。
主催は、地元の各団体代表者らでつくる白老文化観光推進実行委員会(会長・熊谷威二白老町商工会長)と文化庁、独立行政法人日本芸術文化振興会。文化庁の2021年度日本博事業の位置付けで、作品展の「アーティスト・イン・レジデンス」と「シルキオ・プロジェクト」、音声コンテンツ配信(インターネットラジオ番組)―の3本を企画した。
アーティスト・イン・レジデンスは、芸術家が町内に一定期間滞在しながら作品を制作し、展示するプログラム。後志管内ニセコ町の現代アート作家磯崎道佳さんが「森の入口、森の出口、あるいはどちらでもない」をテーマに、大町商店街にある貸事務所用の建物で造形作品展を催す。屋内に木の枝をびっしりと張り巡らせ、白老の森や川を表現した奇抜な空間芸術を披露する内容で、15~17日と22~24日の計6日間の日程を組んだ。また、23日に「ハスカップからカンパーニュ」と題したワークショップをオンラインで行う。
シルキオ・プロジェクトは、道内外のアーティストらが白老に根付くさまざまな文化や歴史、人の営みをモチーフにした作品を制作し展示する企画。相川みつぐさん(画家)、大西洋さん(美術家・イラストレーター)、森迫暁夫さん(同)、文月悠光さん(詩人)、吉田みなみさん(彫刻家)の5人が大町のカフェ結や空きテナント=旧創作一心=、ブウベツの森キャンプ場、旧社台小学校前庭、しらおい創造空間「蔵」の5会場で、イラストとアイヌ文化のコラボ作品やシルクスクリーン、造形、詩の朗読と映像などを披露する。期間は15日~11月7日を予定している。
音声コンテンツは白老発インターネットラジオ番組を作り、地域の魅力や話題を紹介するプログラム。町民らがパーソナリティーとゲストで出演するミニ番組「レディオしらおい」とスペシャル版「ラジオウタリ」の2本立てで企画した。「レディオしらおい」は既に収録を進めており、専用ウェブサイト=https://anchor.fm/radioshiraoi=で配信している。「ラジオウタリ」は、アイヌ民族のトンコリ奏者OKI(オキ)さんが番組の司会進行役を務め、今年度内に計3回の放送を予定。初回は11月12日、ラジオDJで音楽評論家のピーター・バラカンさんをゲストに招き、ネットで生配信する=午後7時半から2時間=。
白老文化芸術共創プロジェクトは、アートで表現した白老の魅力を国内外にPRし、地域の活力を創出する事業。実行委は「文化芸術と観光を組み合わせたアートツーリズム推進の契機にもしていきたい」と言う。各事業の詳細は白老文化芸術共創ウェブサイト=https://www.shi-ra-oi.jp/=に載せている。
実行委の役員は次の通り(敬称略)。▽名誉会長 戸田安彦(白老町長)▽顧問 松田謙吾(町議会議長)、山丸和幸(白老アイヌ協会理事長)▽会長 熊谷威二(町商工会会長)▽副会長 福田茂穂(白老観光協会会長)、清水尚昭(白老建設協会会長)、吉村智(町内会連合会会長)、竹下和男(町文化団体連絡協議会会長)
▼「日本博」とは
縄文時代から現代まで続く日本の美や文化を国内外に発信する文化庁主体のプロジェクト。「美術・文化財」「舞台芸術」「共生社会・多文化共生」など8テーマに基づく事業の採択を受けた文化団体、自治体などが美術展、舞台公演などを企画し運営する。2021年度は日本博の「主催・共催型プロジェクト」に白老町の実行委員会を含めて44団体の事業が採択された。




















