「このままでは国家財政は破綻する」。今月発売の月刊誌「文藝春秋」に載った矢野康治財務事務次官の寄稿文を興味深く読んだ。
文章は「最近のバラマキ合戦のような政策論を聞いて、やむにやまれぬ大和魂か、もうじっと黙っているわけにはいかない」と政治への憤りを感じさせる内容で始まる。衆院選を強く意識し、各政党がコロナ禍で落ち込んだ経済再建のため、数十兆円の大規模な経済対策や財政収支黒字化の凍結、消費税率の引き下げまで提案していることを問題視。「まるで国庫には、無尽蔵にお金があるかのような話ばかり」とあきれ返る。
国や地方の債務合計は先進国の中でも突出した1166兆円に膨らみ、今の財政状況を「危機的」と警鐘を鳴らし、財政再建によって「平時は黒字にし、有事に備える」必要性を強く訴える。現状は平時であっても財政赤字が膨らむ状況で、政治家と国家公務員の向き合い方にまでも触れている。
振り返ってみると、東日本大震災の際、国は10兆円の復興財源を賄うため、住民税を10年間、1000円上乗せし、所得税額も2・1%(25年間)、法人税を10%(2年間)それぞれ上乗せした。有事への不十分な備えが結局、増税につながったことになる。衆院選では、政治家から耳心地よい政策も聞こえてくるが、その効果や財源の裏付けはどうなのか。過剰な財政赤字を生むことにならないか、しっかり見定める必要がある。(教)









