道運輸局苫小牧海事事務所は、フェリーの利用促進や海事・物流産業の人材育成に力を入れている。先月から今月にかけては、中学校教諭や旅行代理店関係者8人を招き、苫小牧港から東北地方を巡る修学旅行体験会を初めて開いた。同事務所は参加者の意見を参考にしながら、修学旅行の誘客に向けた取り組みを強化する方針。
体験会は太平洋フェリー北海道支店と共催で実施。初日の10月30日は、参加者が苫小牧でRORO船(フェリー型貨物船)の船内や物流倉庫を見学し、内航コンテナの荷役機械に体験乗車した。その後、苫小牧西港フェリーターミナルで水先案内人やフェリーの船長の講話を聞いた後、フェリーに乗船し、苫小牧港を出港した。
翌日、仙台港に着き、東日本大震災の震災遺構となった仙台市の荒浜小学校や宮城県松島町の瑞巌寺などを見学。最終日は岩手県平泉町の中尊寺などを見て回り、仙台空港から航空機で新千歳空港に到着後、苫小牧西港フェリーターミナルで解散した。
参加した厚南中の山本有紗教諭は「初めて港の施設を見学した。修学旅行は飛行機で東北に行くことが多いが、フェリーのメリットや面白いと感じたことを学校や生徒に伝えたい」と話す。東武トップツアーズ札幌支店の川﨑梨沙主任は「市場動向を探り、商品化を検討したい」と前向きに語った。
同事務所によると、道内と本州を結ぶ中・長距離フェリーの利用者は、1994年度の136万8000人をピークに減少傾向が続いている。2020年度はさらに新型コロナウイルスの影響を受け、前年度比45%減の59万9000人まで落ち込んだ。
海事・物流産業の人材確保の面でも、内航船員数は1974年の7万1000人から2019年に2万8000人と半分以下に。船員年齢(20年)も50歳以上が45・3%、30歳未満は19・8%と高齢化が進み、人材育成が重要な課題となっている。
体験会を企画した同事務所の奥田秀治所長は「中学生に荷役機械の体験乗車をさせたいという声もあった。海事、物流産業について理解を深めることにつながる」と手応えを語る。一方で、▽大人数では体験乗車の時間を確保できない▽傾斜路を歩くときにどうするか―など課題も浮かんだ。
奥田所長は「東北から道内に誘客すれば相互交流もできる。地域へ波及効果が生まれるよう関係者へのヒアリングを進めていきたい」と意欲を見せている。
















