2020年度の苫小牧市内の生活保護費は前年度比4億5198万円減の87億8005万円で、9年ぶりに90億円台を下回った。背景には生活保護受給世帯の減少に加え、新型コロナウイルス禍で医療機関への受診控えが起きた可能性などが考えられる。生活保護は最後のセーフティーネットともいえ、市は「生活保護が必要となる可能性は誰にもある。ためらわずに相談を」と呼び掛けている。
市生活支援室によると、生活保護費は15年度の97億3592万円をピークに、5年連続で前年度割れとなった。社会情勢を踏まえた国の定期的な保護費の見直しで減額になったほか、「17年の年金受給資格期間の短縮の影響が大きい」と同室は指摘する。18年度は前年度比2億7614万円減の93億4234万円、19年度も前年度を約1億1000万円下回った。さらに20年度は生活保護費のうち、医療扶助分で同約2億5000万円減の約44億円となり、「コロナを心配して、医療機関への受診控えもあったのでは」(同室)とみている。
生活保護受給世帯(月平均)自体も20年度は大きく減った。減少に転じた18年度から毎年10世帯弱の減少幅だったが、20年度は前年度比45世帯減の4335世帯。人数ベース(同)でも同150人減の5605人だった。同室の担当者は「明確な理由は分からないが、国や道、市による新型コロナに伴う支援策の充実で、生活保護を利用するまで深刻化していないケースがあるのではないか」と分析する。
一方で、コロナ禍を理由にした相談も19年度3件(生活保護受給1件)、20年度54件(同35件)、21年度は10月末時点21件(同13件)に上り、コロナ禍と受給世帯の増減の関係は単純には推し量れない。希望する受給者には市の就労支援員が定期的に面談し、経済的自立の支援にも取り組むが、コロナ下で活動の制約を受け、20年度の自立の実績は伸び悩んだともいう。
生活保護受給世帯の類型別では、高齢者世帯の増加傾向は変わっていない。16年度に初めて2000世帯超の2071世帯に達し、20年度は2301世帯まで増えた。「年金や貯金がほとんどないまま、高齢で仕事ができなくなったために相談に来る人もいる」という。併せて、介護を必要する受給世帯も増加傾向にあり、高齢社会の厳しい現実を物語っている。
今年度の生活保護受給世帯は10月末時点で4307世帯。減少傾向は続いており、同室は「コロナ下を踏まえ、対策も試行錯誤していきたい」としている。
















