苫小牧市は16日、自分の人生の最期に受けたい医療やケア、望む過ごし方などについて元気なうちに考え、周りの人と共有する「人生会議」について伝える出前講座を試行的にスタートさせた。カードゲームを用いることで、人生の締めくくりを前向きな気持ちで考えることができるのが特徴。初の出前講座を沼ノ端地区で行い、地域の高齢者らが参加した。
人生会議はアドバンス・ケア・プランニング(ACP)の愛称。万が一の時にも本人の意思を反映でき、治療方針などを判断する家族の心の負担を軽減することにつながるとして、厚生労働省が推奨している。
高齢化の進展を背景に市もこの重要性を認識し、出前講座に乗り出した。初回の会場は、沼ノ端児童体育館(沼ノ端中央)で開かれた市民の交流の場「ほっとカフェ・ふくじゅそう店」。地域の高齢者や市介護福祉課の職員をはじめ、取り組みに協力する苫小牧市民斎場の従業員や市社会福祉協議会の職員など、約20人が参加した。
参加者は四つのグループに分かれ、自身が治療困難な病気で余命が半年から1年という状況に置かれているという想定でゲームを体験。カードには「機器につながれていない」「人生の最期を一人で過ごさない」「あらかじめ葬儀の準備をしておく」といった文言が書かれており、参加者はこの中から自身が終末期に望むことが書かれたカードを5枚選出。最終的にはさらにその中から3枚を選び、その理由をほかの参加者に説明した。
年代や立場、人生の価値観などによって、選ぶカードはバラバラ。植苗在住の男性(66)は「最期まで希望を持ちたい」という願いから、「ユーモアを持ち続ける」「死生観について話せる」といったカードを選出。一方、船見町の女性(79)は「良い人生だったと思える」「祈る」といったカードを選び、その理由を「年齢的にもすでに人生の締めくくりを迎えている。これまでをゆっくりと振り返る時間があれば、それでいいと考えた」と語った。
市介護福祉課の担当者は「人生会議で大切なポイントは、終末期について一人で考えて終わるのではなく、家族や医療・介護の関係者などと繰り返し話をするということ」と強調。出前講座では体験にとどまらず、それぞれの希望をかなえられるような地域資源や制度、関係機関なども紹介する考え。担当者は「今後も町内会などのサロンや市民グループの集まりなどに呼んでもらい、出前講座の回数を重ねていきたい」と語った。



















