2年前、帰省した子ども一家を新千歳空港まで送った時、車内で運転免許証の返納が話題になり、息子に「もうそろそろ」と言われた。来春は更新。改めて思い出す。
2019年4月、東京・池袋で高齢者の運転する乗用車が暴走し、自転車の母親と3歳の女児が死亡、9人が重軽傷を負った事故の後のことだ。高齢者の免許証返納が全国に広まっていた。冬や雨の日、通学を手伝ってやったのに恩知らずの薄情者―とも思ったが、仕方ない。
自動車には「走る凶器」という不名誉な別名がある。どんな凶器なのか。この数日、防犯カメラが撮影した恐ろしい画像がテレビに映し出されている。今朝も見た。17日の正午すぎ、大阪府で起きた事故の現場。89歳の男性の運転する乗用車が暴走し87歳の男性が死亡、女性2人が重傷を負った、ほんの10秒ほどのできごとだ。運転者は動き出したオートマチック車を止めようとしてブレーキとアクセルを踏み間違えて前に暴走、あわてて後退し、さらにギアを切り換えて前進したと説明。過失を認めているという。動転や操作の誤り具合を想像できる。「もしも自分が運転者だったら」とは、想像するのも恐ろしい。
昨年度、道内では約2万人が免許証を自主返納したそうだ。車の運転補助装置が充実する。装備への助成や更新時の指導強化も検討が進む。しかし同種の悲惨な事故はなくならない。「なぜなのか」―。高齢運転者の一人として、考える。(水)









