フランスが2024年から犬、猫の店舗販売を禁止する。今月、動物虐待の厳罰化も合わせて盛り込んだ動物愛護に関する法改正案が議会で可決された。動物保護先進国とされる同国でも年間10万匹のペットが捨てられており、衝動買い防止へ犬、猫を飼う場合は保護団体や個人からの譲渡、ブリーダーからの直接購入に限定される。
ペットフード協会のまとめでは日本国内で飼われている犬は年々減り、20年度は848万9000匹となったが1年以内の新規飼育数に限れば増加傾向にある。新型コロナウイルス禍で在宅機会が多くなった昨春以降に急増し、過去5年間で伸び率も最高。衝動買いであろうとなかろうと適正飼育啓発の強化が必要だ。飼育放棄や多頭飼育崩壊は後を絶たず、環境省によると、19年度は全国の自治体に引き取られた3万2555匹中5635匹が殺処分された。保護団体の尽力もあって殺処分率は低下傾向にあるものの、今も命の尊厳が脅かされる目を背けたくなるような現実がある。
たびたび悪徳ブリーダー逮捕などの事件が報じられるが、無責任な飼い主の罪もかなり重い。「私にも心があることを忘れないでください」。以前、ネット上で話題になった犬の立場から書かれた作者不明の短編詩・犬の十戒を思い出した。ペットも人と同じように喜び、怒り、そして悲しむ。飼い主の一人としてそのごく当たり前なことを改めて肝に銘じたい。(輝)









