1972(昭和47)年。テレビで札幌冬季五輪のスキージャンプ競技を夢中になって見ていた。見事に日本は当時の70メートル級で金銀銅メダル独占の快挙を成し遂げ、「日の丸飛行隊」と呼ばれるようになった。表彰式の映像を今でも鮮明に覚えている。アイスホッケーやスピードスケート競技には苫小牧ゆかりの選手も出場しており、当時の「あの場面」を思い出す読者も多いのではないだろうか。
あれから半世紀。再び、道都札幌にアスリートが集う五輪を招致しようという動きが始まっている。2030年にあのわくわく感がよみがえるのだろうか。いや、少し立ち止まって考えたい。半世紀前の五輪では地下鉄が開業、地下街もできた。高速道路だって開通し、確かに便利さは増した。
ただ、今回は時代背景が全く違う。札幌市が明らかにした概要計画案では、費用は運営費も含めて約3千億円。従来の計画より900億円削減した。ただ、招致合戦の中で経緯を安く見積もるのは東京五輪でも明らかで招致時の7千億円は1兆3千億円にまで膨らんだ。ロシアのソチ大会では5倍になったとの数字もあるほどだ。
札幌市は今年度中に市民ばかりではなく道民対象に意向調査を行う。開催を目指すなら、道都だけはなく道民全体の機運の盛り上がりと理解が不可欠だ。ほぼ10年先の五輪に何を求めるのか。単なる熱だけではない丁寧な説明を聞きたい。(昭)









