ボクシングのダブル世界戦は14日、東京・両国国技館で行われ、世界ボクシング協会(WBA)、国際ボクシング連盟(IBF)バンタム級統一王者の井上尚弥(大橋)がIBF同級5位のアラン・ディパエン(タイ)を8回2分34秒、TKOで下した。WBAは6度目、IBFは4度目の王座防衛に成功。
2年ぶりの国内での試合となった井上尚は、序盤から圧倒して8回にダウンを奪うと、レフェリーが試合を止めた。戦績は22戦全勝(19KO)、ディパエンは12勝(11KO)3敗。
世界ボクシング機構(WBO)ミニマム級は、同級1位の谷口将隆(ワタナベ)が、王者のウィルフレド・メンデス(プエルトリコ)に11回1分8秒でTKO勝ちし、2度目の世界挑戦で新王者となった。
谷口は2回に左の強打でダウンを奪うなどして、優位に試合を進めた。戦績は15勝(10KO)3敗、メンデスは16勝(6KO)2敗。日本ジム所属の男子世界王者は8人となった。
◇タフで根性あった
井上尚弥 2年ぶりの日本での試合で、8回戦えたことをうれしく思う。ディパエン選手はタフで根性を感じた。
◇追い求めてきたベルト
谷口将隆 ずっと追い求めてきたベルト。夢じゃないかと思っている。しっかり勝ち切ったので、2年前の自分よりずっと強くなれた。ようやく自信を持てた。
井上 久々の日本で圧巻の勝利
2年ぶりとなった国内の試合で、井上尚は変わらぬ強さを示した。8回TKO勝ち。「予想をはるかに下回る試合をした」と自戒を込めたが、7回までジャッジが3人とも王者にフルマークをつける快勝だった。
手数、スピードとも勝り、威力のあるジャブとボディーブローでじわじわ相手の体力を削った。後半は距離を取りたがるディパエンを余裕の表情で追い詰め、8回に左の強打を顔面に2度当ててダウンを奪った。さらに攻め立てるとレフェリーが割って入った。
主要4団体の王座統一という大きな目標を抱いている。今回の挑戦者は強打とタフネスさを兼ね備えていたが、井上尚にとっては物足りない相手だったことも事実。集中力は、来春に計画している他団体王者とのビッグマッチをにらむことで維持してきた。
この試合の生中継はインターネットでの有料配信、ペイ・パー・ビュー(PPV)に限定された。日本ではなじみがない方法。料金を支払った視聴者を「満足させるだけの試合をしたい」。そう話していた通り、KO決着は果たした。
昨年と今年に米国で臨んだ2試合でも、圧巻のパフォーマンスを示した。場所を選ばず、心身を充実させて力を出せる。そんな芯の強さも、井上尚が王者たるゆえんだ。

















