浜厚真の風力発電所予定地でタンチョウの繁殖確認、日本野鳥の会「計画の中止を」

ひなに口移しで餌を与えるタンチョウ=今年6月28日、厚真町浜厚真地区(ネイチャー研究会inむかわ提供)

 大阪ガスのグループ企業が苫小牧市と厚真町で進める風力発電所の計画地内で、国の特別天然記念物タンチョウの繁殖が確認されたとして日本野鳥の会などは16日、同市役所で記者会見し、「貴重な繁殖地の保全を」と計画の中止を訴えた。

 会見には、同会と同会苫小牧支部、むかわ町でタンチョウの独自調査を続けるネイチャー研究会inむかわのほか、日本鳥学会(千葉県我孫子市)の関係者4人が出席。さらにオンラインで学識経験者ら2人が会見で解説や意見を寄せた。

 同会などによると繁殖は、同研究会と酪農学園大学、タンチョウ研究所(札幌市)が今年4~7月の合同調査により、厚真町浜厚真地区の湿地帯で確認。ドローン撮影で抱卵や幼鳥2羽の世話をするつがいと元気に育つひな2羽が確認された。

 営巣地は、大阪ガスの子会社「Daigasガスアンドパワーソリューション」が全高150メートル規模の大型風車約10基を建てる「苫東厚真風力発電事業」の計画地周辺に当たる。一帯は法令に基づく自然保護地域などには指定されておらず、同社は2026年5月ごろの施設稼働を目指しているという。

 同会は昨年6月25日付で同社に意見書を提出。会見に当たっては今月14日付で同支部と同研究会の3者が同社に事業の撤回を求める要請書を送った。また環境大臣、道知事、苫小牧市長、厚真町長宛てに事業の見直しを含む行政勧告を行うよう要望書を出した。同じく会見に臨んだ日本鳥学会も、同学会として初となる事業中止要望書を11月25日付で同社ほか経済産業大臣、環境大臣、道知事、苫小牧市長、厚真町長に送付したことを報告した。

 タンチョウの繁殖は道東地域が中心。今回の繁殖確認は道内西端の一つとみられ、ネイチャー研究会inむかわの小山内恵子代表は「(道東に偏る)タンチョウ生息地域の分散を目指す上で浜厚真地区は道央での繁殖の鍵になる」と保全の重要性を訴える。

 日本野鳥の会ウトナイ湖サンクチュアリの中村聡チーフレンジャーも「タンチョウだけでなく国の天然記念物オジロワシやヒシクイ、国内希少野生動物のチュウヒなど希少種の繁殖に欠かせない場所。希少鳥類保護の観点から次の世代に貴重な湿地を残すために計画の見直しをお願いしたい」と話していた。

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