今年も秋サケやシシャモは深刻な不漁だった。サケは日本海、オホーツク側は前年実績を上回ったが、太平洋側は一様にひどかった。明治に始まり、戦後は高い実績を積み重ねたふ化放流事業のサケに何が起きているのか、研究機関や関係者の対策が急がれる。
太平洋側のサケ定置網は今年もブリ(イナダ、フクラギ)やサバが随分と掛かった。餌となるイワシなどの群れを追い黒潮に乗って回遊する魚たちだ。苫小牧の沿岸ではイワシの群れの岸寄りが11月まで続いていた。
この秋はそのサバの立派さに驚いた。地元の市場で仕入れている店には「地物」「脂バッチリ」と表示され、安価で並んだ。宮城の”金華さば”にも劣らない大物で、つやつやと輝いて尻はプクッと膨らんだ上物だ。
魚料理に通じた知人が推すので半身をルイベに、半身をしめさばにした。自作は初めて。三枚に下ろし、腹骨をそぎ、中骨を丁寧に抜き、レシピに沿いつつ気持ちをたっぷり込めて仕込んだ。零下20度以下の冷凍庫に数日置き、食べる時はドキドキだったが、つやも色合いも匂いも上々の出来栄え。いずれも絶品の味わいで、家人に褒められ気持ちのいい晩酌になった。
苫小牧でサバがサケに替わる漁になることはないにしろ、せっかく取れた良品は有効に流通させたい。銘柄サバに劣らないことをアピールできれば、いくばくかでも漁家経営を補うことにもつながるのではないか。コラム子は来季PRしたい。(司)









