来年から

来年から

 今年も残り1週間。新型コロナウイルスの変異株オミクロン株の市中感染が、大阪、京都の両府内で確認された。感染収束への甘い見通しは捨てなければならないと、改めて思い知らされる。

 コロナ禍が始まって約2年。予定や計画が狂ったり、中止になったりして、人生が大きく変わってしまった人の落胆の声、悲痛な叫びを多く聞く。でも「もう去年と今年はなかったことにしませんか」―と、精神科医の香山リカさんは診察室を訪れた女性に言ってみたという。転職の予定が立ち消えになったと悩む女性は「えっ」と驚きの声を上げたが、香山さんは「これまでを丸々なかったことにして、来年からスタートということです」と説明を重ねた。

 この話を収めた著書「もっと、自分をいたわっていい」(新日本出版社)を手に取ったのは、タイトルもさることながら、香山さんが来春、むかわ町国民健康保険穂別診療所の副所長に就任すると報じられたばかりだったからだ。香山さん自身、海外の医療ボランティアに行く計画が吹っ飛んだという。「どうしてこんなことに」と考えても仕方がない2年間のことは考えずに、「来年からまたできることを始めよう」と思ったのだという。その一つが多分、むかわ町での地域医療だったのだ。

 穂別の魅力を全国に発信したいとも語っていた。「地域のため」もうれしいけれど、自分をいたわり、町の暮らしを楽しむことから始めてほしい。(吉)

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