正月は子どもたちの成長や優しさを確かめ考えさせられる季節。子どもは親の生き方を見て学びながら子育てや仕事を通じて成長する。

　時代が変われば、生き方だって大きく変わっていくものだと思う。もうサラリーマン世帯の長男や次男が続き柄を意識する時代ではないとは思うのだが言葉の端々にそれが表れることも多い。わが家には、高校生の頃に子どもが連れてきた、時には子どもより頻繁に心を通わせてくれる友人が、今でも出入りしている。ありがたいことだ。

　関東での学生時代に知り合った女性と結婚し、北海道へ帰ったのはＡ君。札幌などで長く子育てをしてきた。そのＡ君が、不惑を過ぎて関東の企業への転職を決めたという。決意が聞こえたのはつい先日のことだ。

　老いていく義母のこと。娘の進学のこと。あれこれ考えた上での判断なのだろう。優しい者は、優しく生きるものだ。時節柄、顔の下半分はマスクで隠していたが、変わらぬ笑顔と明るい声であいさつに訪れ、「これからは北海道へ帰省する立場になりますので―」。居間の家具の配置を見回して、学生の頃、わが家の息子の不在時にもちゃっかりと先に帰省して、酒を飲み交わしていたことを思い出して懐かしんでくれたという。

　新しい土地でも、きっと周囲に慕われるに違いない。また一つ、息子とかわいい友人たちとの記憶が増えた。親子のような年の差の友にまた教えられた。コロナなんかに負けるな。（水）