【ビショフスホーフェン(オーストリア)時事】ノルディックスキーのワールドカップ(W杯)ジャンプ男子は5日、オーストリアのビショフスホーフェンで伝統のジャンプ週間第3戦を兼ねた個人第12戦(HS142メートル、K点125メートル)が行われ、小林陵侑(土屋ホーム)が合計291・3点で逆転勝ちし、ジャンプ週間3連勝で史上初となる2度目の完全優勝に王手をかけた。W杯は4連勝で今季6勝目、通算25勝目。
小林陵は1回目に137メートルの2位で、2回目には137・5メートルを飛んだ。ジャンプ週間の得点で2位に17・9点差をつけ、史上3人目の4戦全勝を遂げた2018~19年シーズン以来の総合優勝に大きく前進した。
佐藤幸椰は10位、小林潤志郎は19位、伊東大貴(以上雪印メグミルク)は24位、中村直幹(フライングラボラトリー)は31位だった。
ジャンプ週間第3戦は、4日にオーストリアのインスブルックで実施予定だったが強風のため中止となり、最終第4戦の会場で代替開催された。
小林陵 勝負強さと安定感
他の誰も勝つことができない。今の小林陵には、そう思わせるだけの勝負強さと安定感がある。1回目を終えてリンビク(ノルウェー)と5・7点差の2位でも「良いジャンプができればチャンスはある」と信じていた。
2回目はスタートゲートが下がり、不利な追い風となったが、1回目を0・5メートル上回る137・5メートル。リンビクは飛距離を落とし、1回目より11点以上低かった。逆転でのジャンプ週間3連勝に「スーパーエキサイティング」と喜びを表現。敗れたライバルは「負かすことができない」と認めるしかなかった。
ビショフスホーフェンのジャンプ台は助走路が緩やかで長い珍しい形状。ベテランの伊東は「ここで上手に飛べたら、どこでも飛べる」と話す。歴代の日本選手が苦戦する中、夏場に合宿している小林陵は2019年に同会場のW杯で日本勢初優勝。「好き」と言えるほど、完全に攻略している。
第70回を迎えた伝統のジャンプ週間で、史上初となる2度目の完全制覇にあと1勝。総合優勝争いでも2位のリンビクに17・9点差、飛距離換算で約10メートル差をつける。「2本そろえられなきゃ勝ちはない。総合もまだ結構難しいところにある」。気を緩めず、好相性の会場で偉業に挑む。




















