目標額を決めるなどして始める小銭貯金は楽しい。たまって金融機関に持ち込む際には、職員に手間を掛けないよう窓口を避け、ＡＴＭ（現金自動預払機）で入金する人も多いのでは。そんな小銭貯金に暗雲が垂れ込めている。

　ゆうちょ銀行は１７日、ＡＴＭでの硬貨の入金に取扱料を新設する。料金は２５枚まで１１０円、５０枚まで２２０円、１００枚まで３３０円。１円の入金にも１１０円が掛かるので、小銭貯金を持ち込むと、硬貨の枚数と総額次第では、入金によって残額があまり増えないこともある。納得しかねる事態を避けようと窓口利用に切り換えても、５０枚までは無料だが、５１枚からは５５０円以上の料金が必要になるので、五十歩百歩といえる。

　硬貨の入金ではすでに、みずほ、三菱ＵＦＪなどのメガバンク、山梨中央、広島などの地方銀行が取扱料を設けている。超低金利の影響で経営環境が厳しくなったため、利用者へのコスト転嫁で状況を緩和するのが狙いだ。これらは窓口での入金が対象だが、ゆうちょ銀行はＡＴＭでの入金にも初めて取扱料を導入した。今後、他の金融機関に広がる可能性もある。

　子どもたちが小銭を握ってやって来る駄菓子屋、人々が思いを込めて入れる神社のさい銭、各種の街頭募金など、小銭が集まるところは貯金箱以外にもたくさんある。取扱料はこれらの扱いにも関わってくることと、金融機関の厳しい現状を思い、腕組みをしている。（林）