1月1日現在の札幌市の人口が前年同期比907人減少したという。札幌市を除く―と表現されることの多かった北海道の人口減少を報じる際のただし書きが取れた。
札幌市が19日に発表した住民基本台帳に基づく1日現在の人口は196万668人。札幌の人口が減るのは1972年4月の政令都市移行以来初めてのことだそう。増加を支えてきた人口流入による「社会増」がコロナ禍の影響などで減り、少子高齢化によって、死者数の増加を出生数が補えない「自然減」の増加も要因になったようだ。
札幌市への人口流入を支えた農漁村地域の人口減少や高齢化は限界まで、いや限界以上に進んでいる。胆振や日高の山間部には先住のアイヌ民族の残した地名以外に、日本語を基にしたと思われる地名が多い。手元の道路地図を開いてみた。豊郷、共栄、太陽、明和、大富、正和―。明治以降の開拓入植時の命名のほかに、第2次世界大戦の敗戦直後、緊急入植に当たって名付けたものもあるようだ。
半世紀ほど前から、これらの地域を取材で訪ねることが多かった。すべてではないにせよ火山灰地や水利、日照に問題のある地域も多く、少子化や義務教育学校の統廃合は都市部より数十年早く始まっていた。地名にふさわしい繁栄や夢が遠のくのと並行して離農や人口流出が進み、都市が拡大する。そんな構図が見えた。札幌市の人口減少を驚くだけでなく、北海道の将来を考える契機としたい。(水)









