悪癖

悪癖

 給与生活者の楽しみの一つは退職後の余暇。仕事が楽しみと言い切れる人は幸せだ。年金は2年連続減額。老後には病気などの大敵も多いが楽しい時間の到来を待つ。

 小旅行やスポーツ、音楽、釣り、読書―。楽しみはいろいろだ。知人からの年賀状にはボランティアやアルバイトで充実した日々を送っているとの書き込みもあれば「まだ、働いています」となかなか訪れない楽しい第二の人生に、すっかり待ちくたびれた様子の書き込みも。

 車の運転が好きで風景を見るのも好き。十数年前に、思い付いて各地の岬を訪ねたことがある。北海道一周などという野心はなかったのだが根室の納沙布岬、稚内の宗谷岬、後志の積丹岬、渡島半島南端の白神岬などを訪れ、北海道を包む海岸線の道路の過半を走った。未明や早朝に出発して夜に帰る強行軍。身に付いた貧乏性は簡単には抜けないものだ。燃料高騰にコロナ禍、運転能力や体力の衰え。今なら、もう不可能だろう。

 自分の課題の一つは、20代に覚えた「積ん読」という悪癖の治療と処理だ。先延ばししてきた読書の残りを、どう処理するか。「いつか読む」と、半世紀以上も転勤のたびに運び、本棚を占拠し続けた本がある。分厚くて重たい本や、小さな活字の本が多いようだ。読み切るには忍耐力とそれなりの視力、腕力が必要だろう。ほかにも、片付けなければならないものはたくさんあるし―。ため息が出る。区切りの春は遠くない。(水)

関連記事

最新記事

ランキング

一覧を見る

紙面ビューワー

紙面ビューワー画面

レッドイーグルス

一覧を見る