2008年8月の北京夏季五輪開催時に十勝連峰の主峰十勝岳(2077メートル)から見た青空の澄み具合、富良野盆地の視界の良さを覚えている。科学的な観測や分析とは別に、高い空を流れる風がつながっていることを実感した。
当時も中国では工場や自動車の排煙、排ガスによる深刻な大気汚染が問題になっていて、五輪期間中の交通規制や事業所の操業停止が報道されていた。
先日の日曜日、冬季五輪開幕が目前に迫った北京の様子を紹介する民放のニュース番組を見ていた。自慢の「北京晴れ」を世界に見せるために今、何が行われているのか。家庭の調理や暖房用のかまどのたき口がセメントなどでふさがれたと紹介されていた。代替の暖房用に電気毛布が配られたが、室内の温度計の表示は10度以下。寒がりでストーブが大好きな道産子にはとても耐えられない温度だ。
それでも、床に横になり下半身に毛布をかけて勉強中の子どもはかすかに笑顔を浮かべ「寒くないです」。カメラを向けられた老人は「みんなが守らなければ大変なことになる―」。もし五輪期間中、青空の澄む日が多ければ、中国人民が寒さに耐えている結果かもしれない。
女子アイスホッケーのスマイルジャパンはあすから予選リーグ。声援を送りたい。メダルの数や新型コロナ対策だけでなくテレビ画面の隅々を見て、人権や環境問題の現実にも注目したい。五輪の後も続く、長い長い交流の課題を知るために。(水)









