師走に買った詩人の金子みすゞさんのカレンダーが、1枚めくれた。風景写真とともに載っている2月の作品は「白い帽子」。こんな詩だ。〈私みたいに、不器っちょで、よう巣をかけぬかわいそな鳥の、あったかい、いい巣になっておやり。〉。桁違いの感染拡大が続く中、立春を迎えた。
降り積もった雪を吹き払う風を「浚風(さらいのかぜ)」と呼ぶそうだ。きのうの節分は、この風が吹いた。そんな厳寒の札幌で、通勤や取材で毎日使うチカホ(札幌駅前通地下歩行空間)の柱に、今月から2030年冬季五輪の札幌招致を目指すポスターが、ずらり貼られた。柱には「ひとも まちも 次のステージへ」のコピーが踊る。
ジャネット・リンが躍動した1972年の札幌五輪開幕から、半世紀を迎えた。これに合わせ、道銀が統計から見た札幌市の今と昔を冊子で紹介している。人口は当時が107万人で今は196万人…。五輪を契機に、大きく生まれ変わったことが分かる。ただ、2度目の招致に前のめりの行政側とは異なり、市民には賛否両論がある。沢木耕太郎さんの「オリンピア1996 冠〈廃墟の光〉」(新潮文庫)を読んで、五輪自体の大義が既に失われているのも分かる。
海の向こうの中国・北京では、今夜五輪の開会式。昨夜はスマイルジャパンがスウェーデンと激闘を繰り広げて、初勝利を挙げた。人権問題も抱えて複雑な大会。コロナ禍で大声は出さず、静かに声援を送りたい。(広)









