フィギュア スケート 羽生、「みんなの夢」乗せて

フィギュア スケート 羽生、「みんなの夢」乗せて
フィギュアスケート男子フリーの演技を控え、練習に臨む羽生結弦=10日、北京(時事)

 羽生結弦(27)=ANA=がクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)の習得を本格的に目指したのは、2018年平昌五輪で連覇を遂げてから。「もう少しだけスケートに自分の人生を懸けたい。モチベーションは4回転半だけ」。前人未到の大技は、あらゆるタイトルを獲得してもなお、情熱を傾ける価値があった。

 もともと、羽生は前向きに踏み切って半回転多いアクセルジャンプに「質、量ともに一番費やした」と、こだわりを持っていた。トリプルアクセル(3回転半)は軸がきれいで回転も速い。高さも幅も際立っている。

 だが、右足首のけがなどもあり、クワッドアクセルを試合で初投入できたのは昨年12月の全日本選手権だった。「正直、平昌の次のシーズンで降りられると思っていた。それぐらいアクセルには自信があるし、4回転半がそんなに大変と自覚していなかった」。壁は予想以上に険しかった。

 何度も氷の上に倒れ「脳振とうで死んでしまうのではないか」という恐怖も感じた。練習をすれば他のジャンプが崩れ、3回転半が跳べなくなった時期もある。

 新型コロナウイルスの影響で、コーチのブライアン・オーサー氏がいる拠点のカナダに戻れず、国内での孤独な戦い。くじけそうになっても、立ち上がってきたのは「みんなの夢だから」。多くの応援の言葉が支えになった。

 フィギュアスケート男子で94年ぶりの五輪3連覇が懸かった北京。ショートプログラム(SP)ではジャンプの不運があり、8位と出遅れた。それでも気持ちを切らさず、9日の練習では鬼気迫る表情でフリーに備えた。自分だけではない。「みんなの夢」を乗せ、思い切り跳ぶ。

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