距離で追い上げもメダル遠く 渡部暁、物足りない飛躍

距離で追い上げもメダル遠く 渡部暁、物足りない飛躍
ノルディックスキー複合個人ノーマルヒル、後半距離で力走する渡部暁斗=9日、張家口(時事)

 前半飛躍で出遅れ、初めての金メダルがかすんだ渡部暁。後半距離はベテランらしいレース運びと力強い走りで7位に上げたが、「メダルを取れなければ何位でも変わらない」と言った。

 今季はなかなかジャンプの調子が上がらない。助走姿勢を見直して良くなりかけても、また戻る。この日も98メートルと、最悪ではないが物足りない内容だった。ただ、上位選手の顔ぶれなどから、トップと1分16秒差で出る後半もまだメダルの可能性はなくなったわけではない―とみていた。

 距離は1周2・5キロのコース。序盤は優勝したガイガー、ワールドカップ(W杯)総合首位のランパルターらと5位集団を形成し、じわじわと前の4人を追った。3周目にガイガーが一気に前に出た時は何とかついていったが、4周目には力尽き、前の選手をのみ込むまではできなかった。

 1600~1700メートルくらいという標高の高さは苦にせず、「(15日の)ラージヒルに向けて首の皮一枚つながった感じ」と表現した。前日までに話していた通り、やはりカギはジャンプ。この日はガイガーより10秒前に後半を出たが、金メダル獲得のためには、距離が強い選手にはもう少し差をつけてスタートしたい。

 「いいところで体力を残せたら勝負できる」。豊富な経験で培ってきた勝負強さが生きる展開にできれば、ラージヒル優勝が見えてくる。

 淡々とした口調で、表情は明るかった。「若干達観しているところはある。今季は思ったような結果が出なくて悔しさに対してまひしている」。6日後へ向けて切り替えるには、ちょうど良いぐらいの冷静さだ。

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