【北京・石井翔太】北京冬季五輪のスピードスケートは10日、女子5000メートルが行われ、押切美沙紀(富士急、駒大苫小牧高出)は自己新記録の7分1秒17をマークして8位入賞。堀川桃香(白樺学園高)は10位だった。6分43秒51の五輪記録を出したイレーネ・スハウテン(オランダ)が制した。
▽女子5000メートル (8)押切美沙紀(富士急)7分1秒17(10)堀川桃香(白樺学園高)7分6秒92
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― 押切、日本勢12年ぶり入賞
押切美沙紀が自己ベストを更新する滑りで2018年の平昌五輪から順位を一つ上げて8位でレースを終えた。この種目は日本勢12年ぶりの入賞。
3大会連続出場だったが、ここまでの道のりは平たんではなかった。けがの影響もあり、平昌五輪後に一度、競技から距離を置いた。20―21シーズンに復帰すると、昨年12月の代表選考会では7分4秒31の国内最高記録を樹立して代表入り。鮮烈なカムバックを果たした。「こんなにつらいことはあるのか―というくらいどん底にいたけど、離れてみてスケートの大切さが分かった」
レース後、「積み上げてきたものを出し切ることとレースを楽しむことが目標でしたが、そのすべてをクリアできました」とすがすがしい笑顔を見せた。
12日から始まる女子団体追い抜きのチームにも入っている押切。「チームが勝つために自分ができることがあれば100%を出し切りたい」と意気込みを語った。
―恩師の中野さんも祝福
押切の駒大苫小牧高校時代の恩師の中野明彦さん(63)も熱い視線でレースを見守り、入賞を祝福した。
駒大苫へ押切をスカウトした際、「第一印象は明るくてとても良い子だと感じた。朝早くに学校に出勤すると、学校周辺で走り込みをしていた。自主性が高く、努力を結果につなげていく生徒だった」と振り返る。
今回は「理想的なレース運びで、完璧に近い内容だった。彼女の全部を出し切った結果の8位入賞は、今後につながる良い経験だったと思う。まだまだ日本が長距離でも世界に通用するという姿を見せてくれた。多くの壁を乗り越えて挑んだ大会。レース後の表情を見ていると、その苦しみが楽しさに変わっているのを見ることができた」と語った。
―高校3年堀川、大舞台で力を発揮
▽…高校3年の堀川が女子5000メートルで五輪デビューを果たした。最初の組で滑り、自己ベストとなる7分6秒92をマークして10位。目標タイムには3秒ほど及ばず、「大幅に届かなかったのは悔しい」と振り返ったが、昨年末の五輪代表選考会で出したジュニアの日本記録を4秒近く縮めた。
3400メートルまでは1周33秒台のラップを安定して刻み、「自分の滑りを納得するまでできた」。5000メートルのレースは、この日がまだ4度目。「いい経験をさせてもらった」。大舞台で健闘し、潜在能力の高さを示した。
今大会の出場はこの1種目のみ。「いい五輪だった。4年後は、また違う景色を見たい」と次の夢を思い描いた。

















