連覇の重圧、まさかの転倒

連覇の重圧、まさかの転倒
スピードスケート女子団体追い抜き決勝で転倒する高木菜(右)。左は高木美、中央は佐藤=15日、北京(時事)

 金メダルへの道は、最後のカーブで暗転した。カナダと争った団体追い抜き決勝。日本の最後尾にいた高木菜の腰が浮き、小さな体がふわりと起きて尻もち。そのままフェンスに激突し、連覇の夢は消えた。

 あまりにもショックの大きい転倒。レース後の高木菜は「頭がついてきていないので話すことは厳しい」。現実を受け止めることができなかった。

 カナダは今季ワールドカップ(W杯)3連勝。日本の通過タイムは最後の半周までリードしていたが、徐々に差が縮まっていることはデビット・コーチらの緊迫感から伝わってきた。「焦りというか、追い上げてくるのを察した」と佐藤。終わってみれば、日本が1回戦で出した五輪新記録も塗り替えられた。転倒がなかったとしても厳しいレースだった。

 世界の主流に乗って先頭交代を減らす策を試してきたが、実際に決勝で選択したのは4年前の決勝と同じ3回。五輪プレシーズンは新型コロナウイルスの影響で国際大会に参加できず、今季のW杯第3戦では先頭交代を1回にし、転倒者が出た。「実戦がぐっと減ってしまったところも、もっと考慮して他で補わなければいけなかった」と高木美。最も滑り慣れている作戦で臨んでも、実戦機会の乏しさが露呈してしまった。

 初めて直面した追われる立場の重圧。前回の平昌五輪とは違い、3人それぞれが1500メートルでもW杯の表彰台に上がれる地力を付けながらも、一糸乱れぬ隊列が最後に崩れた。連覇への道のりは想像以上に険しかった。

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