ロシアのウクライナ侵攻で、首都キエフや第2の都市ハリコフを中心に、市民の犠牲が増え始めている。ウクライナ出身の2人が2日までに苫小牧民報の取材に応じ、古里にいる家族や祖国を心配する気持ちを切々と語った。
音楽家のナターシャ・グジーさん(42)は、キエフで1人で暮らす68歳の母親を案じ、「一日でも、一秒でも早く終わってほしい」と祈る。2000年に来日し、東京を拠点にウクライナの伝統楽器バンドゥーラの奏者や歌手として活動するナターシャさんは11年8月、市民団体のぴーすぷろじぇくと苫小牧が東日本大震災の被災地支援のため苫小牧市内で開いたコンサートに出演した。
ロシア軍が侵攻を始めた2月24日以降、一日に何度も母親とビデオ通話をし、無事を確認している。話している最中に近くで爆音が響くこともあり、「そんな時は避難した方がいいか判断するため、通話を中断する」。再び連絡を取り合うまでの間、とてつもない不安に襲われるという。
多くの友人の中には、地下シェルターのようなところでじっと耐え、攻撃が落ち着いたのを見計らって自宅に戻り、仮眠を取る―という生活をしている人もいる。スマートフォンのメッセージ機能で「走る戦車を見た」「爆音が聞こえた」と緊迫した状況が知らされることもある。「みんな精神的に追い詰められているけど、ウクライナの人たちは強いので、何とか頑張ろうとしている」と語る。
ナターシャさんは同27日、ウクライナの国花であるヒマワリに囲まれた自身の写真とともに、家族や友人を心配するメッセージをインターネット上に投稿した。ロシアの友人が泣きながら謝ってきたことにも触れ、「どうか泣かないで、謝らないで! その想いを子ども達の未来につなげましょう」と呼び掛けた。「ロシアにも戦争を望まない人はたくさんいる。ロシア人がみんな悪い人だと思わないで」と訴える。
6歳の頃、チェルノブイリ原発事故で被ばくし、故郷を追われた経験もあるナターシャさんは、核兵器の脅威の高まりを最も懸念する。「たくさんの人を殺すだけではなく、その後も人が住めなくなるという取り返しのつかない事態を招く。核のことを考えると、頭が真っ白になる」と声を震わせた。
ナターシャさんの元には北海道をはじめ全国各地からたくさんのメッセージが寄せられ、現地の家族や友人に伝えているという。「遠く離れた日本でも平和を願う声が上がっていることは、ウクライナの人たちの励ましになる。これからもウクライナに心を寄せてもらえれば」と願いを語った。
















