「技術を広く伝えていきたい」 アイヌ伝統工芸展で最優秀賞 堀さんの編み物作品 浦河

アイヌ技法伝承について話す堀さん

 北海道アイヌ協会(大川勝理事長)の第55回北海道アイヌ伝統工芸展で、浦河町アイヌ協会員でアイヌ生活相談員の堀悦子さん(66)の編み物作品が伝統工芸品部門の最優秀賞(道知事賞)を受賞した。

 同展には各地区アイヌ協会の29人が、民具や着物などを復元した伝統工芸品部門に28点、現代的作風の一般工芸品部門に42点を出品した。北海道博物館や道立工業試験場の職員、道アイヌ協会の優秀工芸師らが先月、審査に当たり、入賞作品を決定。堀さんは「ポンサラニプ(編み袋)」を出品し、格調高く技能の向上に果たす役割が大きいと認められ、受賞が決まった。

 ポンサラニプは普段はオヒョウの皮を素材に編んでいくが、今回はツルウメモドキの皮で編んだ。堀さん自身、ツルウメモドキを使用して編むのは初めてで、昔ながらの技法からツルウメモドキに適したものを探し、2カ月ほどかけて作製。「水に強く、手触りや質感、丈夫さ」が魅力だという。

 受賞に当たり堀さんは「とてもありがたい。先祖から教えられてきたことが皆さんに認められた。自信にもつながったので、これからも頑張り、新しいものも開発していきたい」と喜んだ。また、「日常生活の中で周りの人たちから教わってきたことが、今の私の技術につながっている。伝統物だけではなく、バッグなど日常生活で使えるものを通して、アイヌの技術を広く伝えていきたい」と話した。

 堀さんは現在、町内の堺町生活館でアイヌ生活相談員として働き、3月末で退職した後は、アイヌ技法の伝承活動に力を注いでいくという。

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