【北京時事】北京パラリンピック第8日は11日、アルペンスキー女子大回転が行われ、座位で村岡桃佳(トヨタ自動車)が金メダルを獲得した。この種目は2018年平昌大会に続く連覇で、冬季では日本勢で単独最多となる個人通算4個目の金メダル。今大会のメダルは滑降とスーパー大回転の金、スーパー複合の銀を含め4個となった。
立位の本堂杏実(コーセー)は7位、神山則子(テス・エンジニアリング)は13位。
バイアスロンは男子12.5キロ立位の佐藤圭一(セールスフォース・ジャパン)が7位。女子12.5キロ立位の出来島桃子(新発田市役所)は12位、阿部友里香(日立ソリューションズ)は13位。
スノーボード男子のバンクドスラロームは、下肢障害LL1が小栗大地(三進化学工業)の7位、下肢障害LL2は市川貴仁(エレマテック)の8位が日本勢最高だった。
―村岡、巻き返して圧倒
村岡は1回目でトップの劉(中国)に1秒以上の差をつけられた。連覇への緊張があったとはいえ、女子座位の大回転は最も自信がある。「巻き返してやる、3秒くらいタイム差をつけてゴールしてやるという気持ちだった」。プライドを大いに刺激された。
その言葉通り、2回目は圧巻の滑りだった。スタート直後からしっかり加速し、スピードに乗って豪快かつ滑らかなターンを次々と決めた。終わってみれば2位を7秒28も引き離し、この種目では突出した実力を持つことを証明してみせた。
村岡によれば、大回転は最も基礎が詰まった種目で、練習時間を最も割く。「高速系みたいなライン取りや恐怖心の克服、それに技術もすごく必要」。2本のレースに持てる能力を全て凝縮させるところが「私には合っている」と胸を張る。
座位で10個のメダルを獲得した日本障害者スキー連盟の大日方強化本部長は、村岡の成長ぶりに目を細める。「技術も体力も、平昌パラより強くなった」。昨夏の東京パラでは夏冬の「二刀流」選手として陸上に出場。慣れない競技の練習に一から取り組んだことで、心身ともに強くなったことは周囲も認めている。
金メダル通算4個は冬季での日本勢最多で、同一大会3個はタイ記録。「楽しくて、やりがいがあってやっている。その結果、記録を更新できるのはうれしい」。競技の魅力を味わう25歳。まだ記録を伸ばしそうだ。
―本堂、苦手種目で入賞
▽…技術系は不得意だという本堂が、女子立位の大回転で7位に入った。スピードと小刻みなターン技術を求められる種目。「まさか入賞するとは思っていなかった。先につながるいい経験になった」と予想以上の結果に充実感をにじませた。
昨年1月に左膝前十字靱帯(じんたい)断裂の大けがをしたが、2度目のパラリンピック出場を諦めることはなかった。12日の種目は最も苦手意識のある回転。「自分らしく滑り、楽しく終わりたい」。最後まで全力で挑む。
―49歳神山、果敢な滑り
普段は車いすで生活しているアルペンスキー女子の神山則子(49)=テス・エンジニアリング=が、北京パラリンピックでは立って滑る立位で出場している。急斜面の難コースに臆することなく、全力で挑んでいる。
24歳で患った膠原(こうげん)病の影響で、左半身にまひが出始めた。転機となったのは、1998年の長野パラリンピック。義足の選手が豪快に滑る姿に衝撃を受けた。「自分にもできるかな」。42歳の時にはがんを発症し、手術後に左足が動かなくなったが、それでもパラリンピックへの道は諦めなかった。
ストックは右手に1本。自由が利かない左手は腰のベルトに引っ掛けて固定し、バランスを取るために左肘を利用する。左へのターンは踏ん張り切れずに苦手となるが、水泳などで鍛えた体幹も使って斜面を滑り降りていく。
柔らかい物腰からは意外だが、技術系より高速系を好む。パラリンピックのデビュー戦となった5日の滑降では8位に入り、「すごく楽しかった」と笑った。
北京パラは全5種目に出場。「障害も病気も、年齢もそう。同じ経験をしている人が私の滑っている姿を見て、前向きになってもらえたら」。困難に立ち向かう勇気を、北京から届ける。
―佐藤、自己最高の7位
▽…男子12.5キロ立位の佐藤は、バイアスロンで自己最高となる7位入賞を果たした。最初の射撃で1発外してしまい、「不安になったが、もう一度構え直して姿勢を正した」。2回目以降はミスなく切り抜けて、タイム加算を防いだ。
時間差で順番にスタートするため、銅メダルを獲得したボブチンスキー(ウクライナ)の近くで走るタイミングもあった。以前、エストニアとフィンランドで一緒に合宿をしたことがあるそうで、「当時の練習を思い出して、技術的なことを確認した。順位に関係なくいいレースができた」。42歳のベテランは満足そうに振り返った。
―村岡、川除が登場〔北京パラ・第9日〕
【北京時事】北京パラリンピック第9日は12日、アルペンスキー女子回転が行われ、座位に今大会4個目の金メダルを狙う村岡桃佳(トヨタ自動車)が登場。立位には本堂杏実(コーセー)らが挑む。
ノルディックスキー距離では男子12.5キロフリー立位に川除大輝(日立ソリューションズJSC)が出場し、20キロクラシカル立位の金に続くメダル獲得に期待がかかる。女子10キロフリー立位では出来島桃子(新発田市役所)、岩本美歌(北海道エネルギーパラスキー部)が上位を狙う。






















