知人の話。管理する公共用地に、定期的にビールの空き缶が何本も投棄されていた。怒りを抑えながら毎回始末を続けたという。
ビールの銘柄も同じ。「きっと同一犯だろう」。ある日、その用地の前で停車している不審な車を見つけた。見ていると、ためらいもなく空き缶を投げ捨てて立ち去ろうとした。車で追い掛けて後ろからクラクションを鳴らし、パッシングして車を止めた。すると運転手が降りてきて「何だ、この野郎。出てこい」とすごんできた。友人は「今、空き缶を投げただろう。その缶を毎回片付ける人がいる。迷惑だ。持って帰れ。今度は許さない」と怒鳴り返すと、しぶしぶ謝罪して退散した。
一見、知人の「あおり運転」。「ちょっと大人げなかったし、むちゃだったかもしれない。ナンバーを控えて通報することも考えたが、相手が相手だし感情的になってしまった」と反省したが、「こんな悪質な人を見つけた場合、みんな何も思わないのか。どうやって注意するんだろう。いずれにしても見逃しは道徳に反する」と手厳しい。
確かにトラブルに発展する可能性が高い乱暴な方法だ。同様のケースで傍観してきた自分には耳の痛い話。トラブル覚悟で追い掛けて注意するか、見逃すか、通報か―。あおり運転がクローズアップされ、いまだに悪質なドライバーが後を絶たない。あおり運転は許されないが、あおりを誘発するようなマナー違反も同罪か。(高)









