劇的な勝利が最後に待っていた。試合終了を目前にして日本が2ゴール。途中出場でヒーローとなった三笘は「何としても仕事をしないといけないと思った」。4万人以上が集まったシドニーの五輪スタジアムが静まり返る中、日本の歓喜の輪が広がった。
過去3大会もW杯最終予選で争った豪州の敵地で、日本はこれまで2分け1敗だった。「アウェーで勝てていない。勝って決めると話していた」。吉田主将の声はかすれ、目に熱いものが伝った。
後がない豪州に対し、日本は状況次第では引き分けでも良かったが、森保監督が勝負に出た。「勝って出場をつかみ取ろうという采配だった」。相手の運動量が終盤に落ちるのは分析済み。後半39分にドリブラーの三笘を投入したことで、その意図はピッチにも伝わり、同44分に三笘が山根の折り返しを押し込み、ロスタイムに追加点を挙げた。
最終盤の決着となったが、試合開始から前線でボールを激しく追った浅野や南野の貢献を忘れてはならない。中盤の遠藤航、守田、田中も激しくぶつかり、相手の疲労を誘った。指揮官が就任以来、求め続けてきたことが勝負どころで実を結んだ。
1勝2敗と前例のない出遅れから、昨年10月の豪州戦をきっかけに息を吹き返し6連勝。一気に走った。「みんなの努力がW杯につながってうれしい」と監督。目前で夢が散ったベルギー戦からもうすぐ4年。歴史を変える勝利で、W杯ベスト8以上を目指す挑戦権をつかみ取った。

















