千歳市と林野庁北海道森林管理局石狩森林管理署は29日、同市西森と藤の沢の国有林約2535ヘクタールを「アイヌ共用林野」とする契約を締結した。アイヌ民族が儀式やアイヌ文化振興に利用する林産物を採取することができる。道内では2020年7月の新ひだか町と日高南部森林管理署の契約に続き2例目となった。
19年の「アイヌの人々の誇りが尊重される社会実現のための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の施行に基づく取り組み。締結式には千歳アイヌ協会の中村吉雄会長と千歳アイヌ文化伝承保存会の石辺勝行会長が立ち会い、山口幸太郎千歳市長と石狩森林管理署の荻原裕署長が契約書に署名した。
共用林野契約は、国が国有林野の森林経営を行いながら地元住民が共同して使用する権利を設定し、同一の林地を国と地域住民が共に利用する制度。昨年9月に両者と千歳アイヌ協会の関係者が国有林を調査し、11月に共用林野とすることに決定した。千歳の共用林野の規模は新ひだかの倍という。
これにより、千歳アイヌ協会の会員を主体とする共用者が共用林からヤマブドウなどのつる類、イケマなどの薬草、ホオノキやサルナシ(コクワ)などの果実、山菜類、きのこ類などを採取し、先住民族の伝承儀式などアイヌ文化振興に利用するための持続的な採取が可能になる。
山口市長は「アイヌの方々が待ち望んでいた共用林の実現でさらに活動が広がる。アイヌ協会との連携を深めていきたい」と語り、荻原署長も「先例として採取したものを有効にアイヌの文化振興に使っていただきたい」と期待を寄せた。
中村会長は「共用林野で伝統儀式に必要なイナウ(祭具)に使うオヒョウノキも確認された。大いに活用し伝承活動を繰り広げたい」と述べ、最初に儀式に使う原木を採取する考えを明らかにした。
第1期千歳市アイヌ施策推進地域計画は19年9月から24年3月までの5カ年となっており、共用林野の契約期間も22年4月1日から24年3月までとした。千歳市は、契約の更新に向けて第2期地域計画を策定する意向だ。
















