3年目の春

3年目の春

 うららかな春日和に気持ち良く吹き寄せる風を「光風(こうふう)」と呼ぶのだそうだ。そんな風が増え始めた。日も長くなった。まともに西日が差し込む道庁の記者クラブで原稿を書いていると、よく分かる。いつもよりたくさん雪が降った冬が、ようやく幼い春に道を空けようとしている。

 毎週日曜日の午前11時から1時間、JR札幌駅南口広場で市民有志による集会が継続して開かれている。ロシアの軍事侵攻に抗議し、ウクライナの平和を願う催しだ。参加は自由で1人5分間ずつ、リレーでスピーチしていく。ヘイトスピーチは禁止。2本のラインが引かれ、マスコミへの顔出しOKの人は片側に集まる。在日外国人の人たちも多く参加しているのが特徴。先日は在日フィリピン人の若い女性が、ジョン・レノンの名曲「平和を我等に」をアカペラで歌い上げた。美しい声だった。

 そんな春。国内に目を向けると新型コロナウイルス感染がまた再拡大傾向。47都道府県中、44都道府県で増加に転じている。道内でも新規感染者数の1週間合計は前週の約1・2倍(3日時点)。オミクロン株の派生型で、より感染力の強い「BA.2」への置き換わりが進む。「第7波」への懸念が広がる。

 鈴木直道知事は1日の記者会見で、新年度も「感染対策が最重要課題」と力を込めた。一方で「どうみん割」を再開。社会経済活動との両立という難しいかじ取りが続く。コロナとの闘いは3年目の春に入る。(広)

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