小平 今秋に引退 スピードスケート女子 平昌五輪金メダリスト

小平 今秋に引退 スピードスケート女子 平昌五輪金メダリスト
記者会見で笑顔を見せるスピードスケート女子の小平奈緒=12日午後、長野市

 スピードスケートの2018年平昌五輪女子500メートル金メダリスト、小平奈緒(35)=相沢病院=が12日、長野市で記者会見し、今秋のレースを最後に現役を引退すると表明した。「10月の(全日本)距離別選手権の500メートルを競技人生のラストレースとすることを決意した」などと語った。

 小平は「(地元の)信州をラストにしたいと考えていた。シーズン開幕戦で、次世代にバトンタッチするのに良い機会。スケートだけで人生を終えることはしたくないという気持ちもあった」と話した。今秋の全日本距離別は開催地が発表されていないが、例年長野市で開かれている。

 五輪は信州大卒業後の10年バンクーバー大会で初出場し、団体追い抜きで銀メダルを獲得。14年ソチ大会後、オランダへのスケート留学を経て才能が開花し、500メートルで国内外37連勝。平昌大会で日本女子初の金に輝いた。1000メートルでは17年に世界記録(当時)をマークし、平昌で銀を獲得。

 平昌五輪500メートルのレース後、3連覇を逃して涙を流すライバルの李相花(韓国)を抱き締めた場面が大きな反響を呼んだ。その後は股関節の違和感などに悩まされ、連覇を目指した今年2月の北京五輪は大会直前に右足首を痛めた影響もあって17位。1000メートルは10位だった。

引き際も自分らしく
スピードスケート女子の小平が今秋、競技生活にピリオドを打つことになった。3月のワールドカップ(W杯)最終戦は500メートルの1レース目で3位に入っており、まだ世界でも戦えるレベルだ。それでも「スケートだけで人生を終えることはしたくない」として引き際を決めた。

 3歳から始まったスケート人生にも通じるところがある。父の安彦さんの教育方針もあり、幼い頃から自分で練習メニューを考えてきた。1998年長野五輪金メダルの清水宏保を支えた信州大の結城匡啓氏の下で学ぼうと、試験勉強をしながらトレーニング。2014年ソチ五輪後にはスケート大国オランダに単身留学。いずれも自ら選んだ道だった。

 スケーターとしての歩みを「選んでいる道がちょっと特殊で少しスロー」と自ら表現したことも。W杯の500メートルで初優勝したときは28歳。平昌五輪の金メダルは31歳でつかんだ。

 父に「奈緒の人生は神様がくれた時間だから思う存分使え」と背中を押され、進んできた道のりは、深みのある回り道。今後力を入れたいという子どもたちと触れ合う活動でも生きそうだ。

 最後の舞台は、長年応援してもらった地元のリンクに決めた。それまでの約半年は第二の人生を具体的に思い描く時間にもなる。「人生を彩り豊かにしたい」。やりがいのある宿題を携え、ラストレースのスタートラインに立つ。

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