「飽きないでください」。ロシア軍と凶暴な傭(よう)兵組織に攻撃され、非戦闘員の大量虐殺が次々と明らかになるウクライナの、世界への呼び掛けがテレビで紹介されていて胸に突き刺さった。
第2次世界大戦の終戦後に生まれ「戦争を知らない世代」として育った。現実には朝鮮戦争やベトナム戦争、中東戦争、イラク戦争など東西・南北対立、資源問題や民族の対立が元になった戦争はアジアや中東を中心に絶えたことはない。紛争規模のものも加えれば、争いの数はもっと増える。欧州各国を中心に難民は増え続けており、人類は戦争を避ける知恵を身に付けたと思っていたのは幻想だ。毎日の新聞にウクライナとロシアの戦争の記事が載り、テレビの定時ニュースが「ウクライナ情勢からお伝えします」の言葉で始まるようになって久しい。
プーチン大統領の、核兵器使用をにおわす威嚇で始まり、原子力発電所の爆撃と占拠で口火を切った戦争は停戦協議が止まったまま。東部では避難するために人の集まっている駅がロシアのミサイルの標的になった。きのうは大規模爆撃の再開と生物・化学兵器使用の情報が、世界に流された。大統領は記者会見で冷酷に言い放った。「起きていることは疑いなく悲劇だ。だが他に選択肢はなかった」
飽きられることの恐ろしさを改めて想像する。避難者の支援など、ささいでもできることはある。飽きず、慣れず、違和感を忘れず、怒り続けたい。(水)









