デマンドバスという言葉を耳にするようになった。デマンドは要求を意味し「○日○時に○○から△△まで乗りたい」といった予約に応じ運行するバスだ。人工知能(AI)が多様な経路や日時の希望を調整し、効率的に走る最適ルートを短時間で導き出す。
このバスを、胆振東部の厚真町は昨年6月から町内を運行する2路線で活用し、10月にはすべての路線に広げた。走行中に予約が入った際は、最適ルートが更新されて間もなく運転手に伝わり、柔軟に対応。町民は予約をすると、運行の時間内、区域内なら好きな時間と場所で乗り降りができる。
多くの自治体が、公共バスの効率的な運行を模索している。人口減少や少子高齢化で利用者が減り、経営が悪化しているほか、労働条件の魅力の薄さから運転手の成り手も不足気味で、これまで通りの運行が難しくなっているからだ。苫小牧市内路線バスでもこの春、幾つかの路線で減便されていた。バス通学、バス通勤を経験し、今後の自動車免許返納時には公共バスに頼る身としては、状況を深刻に受け止めている。
マイカー運転ができない者や車以外で他のまちから来た人にとって、最も身近なまちなかの移動手段は公共バス。国内では運転手不足などを補うため、遠隔監視・操作による運転席無人自動運転の共同研究も進んでいる。人間以外の力も上手に借り、公共バスが末永く走り続けてくれることを望む。(林)









