聴覚障害者によるバレーボール競技「デフバレーボール」の女子日本代表に、苫小牧市出身の石原美海(19)が選ばれた。北海道からは唯一の選出で、どのポジションもこなせるオールマイティープレーヤー。5月にブラジルで行われる夏季デフリンピック(ろう者のオリンピック)に向けて、「金メダルを獲得したい」と意気込んでいる。
先天性の聴覚障害の石原は2002年に苫小牧に生まれ、友人の誘いをきっかけに小学4年から沼ノ端ウイングでバレーボールを始めた。「バレーボールは一つのボールをみんなでつないで点を取り、勝ち抜くことが魅力」と熱中。沼ノ端中に入学後もバレーボールを続け、北海道栄高にはスポーツ推薦で進学した。
高校1年生の時に初めてデフバレー日本代表候補合宿に参加、日本代表強化指定選手に選出された。それまでは健聴者以外とのプレー経験がなく、「バレーボールとデフバレーボールは別物だと解釈していた」という。代表候補に選ばれた直後は覚悟も固まらずにいたが、合宿に参加するにつれて本格的に日本代表を目指したいという気持ちが芽生え、より練習に打ち込むようになった。
「バレーボールに出合って人生が変わった」と石原。「小学生の時は人見知りで消極的な子どもだった。中学から本格的にバレーを始めて、スポーツの楽しさやコミュニケーションの大切さに気付いた。それからは仲間と積極的に関わり、発言も増えて自分に自信がついた。体力的にも精神的にも成長するきっかけをくれた」。
現在は北翔大学生涯スポーツ学部スポーツ教育学科の2年生。バレーボール部に所属し、週6日の練習に励んでいる。月に2度の日本代表合宿にも参加、5月のデフリンピックに備えている。
石原は15日、父の良さんとともに苫小牧市役所を表敬訪問し、「金メダルを取ることだけが目標」と抱負を述べた。29日にブラジルへ出発する予定で、岩倉博文市長は「異国の地という慣れない環境でも、日頃の練習の成果を出せるよう心から応援したい」とエールを送った。




















