水中カメラで捜索続く 沈没船内に救命胴衣か 知床観光船事故

水中カメラで捜索続く 沈没船内に救命胴衣か 知床観光船事故

 知床半島沖で26人が乗った観光船「KAZU 1(カズワン)」が沈没した事故で、第1管区海上保安本部(小樽市)などは2日も行方不明者12人の捜索を続けた。水深約120メートルの海底で見つかった船体の中に取り残されている可能性もあるとみて、引き続き水中カメラを投入して調べる。同日の捜索では不明者の発見につながる有力な情報は得られなかった。

 海保によると、先月30日は海上自衛隊と共に水中カメラで船体の確認を進めた。その際、水中カメラに救命胴衣のようなものが映ったが、もともと船に積んであったものか、不明者が着用しているものかは分かっていない。海自からは船の後部ドアが開いた状態との報告を受けた。1日は道警、海保、海自が順次カメラを投入したが、船体の内部には入れていない。船体は右に30度傾いているという。

 事故当日のカズワンからの救助要請が、乗客の携帯電話から発信されていたことも判明した。カズワンの運航会社側は事故3日前の国の検査で、航路上の大半が通信エリア外とされる自分の携帯を外部との通信手段として申請しており、つながらなかった可能性がある。

 これまで14人の死亡が確認された。海保は先月30日、新たに東京都内の男性2人の氏名などを公表。身元が公表されたのは計12人となった。

 カズワンは先月23日午前10時に出航。午後1時13分、同業他社から「沈みかかっている」と118番があり、5分後にカズワンから「船首が浸水」と救助要請が入った。午後2時ごろ、運航会社に連絡したのを最後に消息を絶った。
 
 検査時の通信手段 携帯に変更申請 半島付近 航路の大半「圏外」

 観光船「KAZU 1(カズワン)」の遭難事故で、運航会社側が事故3日前に国の定期検査を受けた際、携帯電話を通信手段として申請していたことが4月30日、国土交通省への取材で分かった。事故が起きた知床半島付近は「圏外」のエリアも多いが、実際につながるかどうかは確認していなかったという。

 同省によると、検査を代行している「日本小型船舶検査機構」が20日、船舶安全法に基づく年1回の中間検査を実施。この際、運航会社「知床遊覧船」(オホーツク管内斜里町)の豊田徳幸船長(54)が、陸上との通信手段を衛星電話から携帯電話に変更すると申請した。

 機構がカズワンの航路で携帯がつながるかどうか尋ねると、船長は「つながる」と答えた。機構は以前、漁協関係者から周辺海域で携帯がつながるとの情報を得ていたとして、その場で変更を認めたという。

 船舶安全法は20トン未満の小型船舶について、通信手段として携帯電話の使用も可能としている。ただ、豊田船長が申請した携帯電話会社の公式サイトによると、知床岬に至る航路の大半が電波の届かない通信エリア外となっている。

 「見つけてほしいと現れた」 3歳女児発見の船員
 「船の目の前にパッと現れた。彼女から発見されに来たような気がしてならない」。観光船遭難事故で亡くなった加藤七菜子ちゃん(3)=東京都葛飾区=を発見したのは、道の漁業取締船「海王丸」の乗組員だった。白波が立つ夜の海で捜索に当たった乗組員らが道を通じコメントした。

 観光船「KAZU 1(カズワン)」の遭難を受け、知床岬東側の海域で捜索を開始したのは4月24日午後7時半ごろ。付近は真っ暗で、サーチライトを照らしながら捜していると、午後8時50分ごろ、何かが漂流しているのを発見した。双眼鏡で確認したところ、うつぶせで浮かんでいる人の姿があった。ベージュ色のパーカー姿で、救命胴衣は着用していなかった。

 海上保安庁に連絡し、午後11時10分ごろ海保の巡視船が救助した。巡視船到着まで、海王丸は七菜子ちゃんの体が海に沈まないよう、一定の距離を保って監視を続けた。

 七菜子ちゃんはその後死亡が確認された。「冷たい海に浮かんでいる彼女を見守るしかなかったことは非常に悲しい」。海王丸の乗組員らはこうコメントし、冥福を祈った。

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