仕事柄、気になる新聞記事は切り抜いてとじ、手元に置いて内容を確かめる。ロシアのウクライナ侵攻関連の記事は2月中旬から保存が始まり、もう数百枚になった。
初めてのことが多い。先進国の間の戦争が近づき、始まっていく経過を、世界中が報道を通じて見守ったのは第2次世界大戦後、初めてのことだ。核兵器や生物化学兵器の使用を言葉に出して他国を威嚇したのも、原子力発電所が攻撃されて占拠されたのもおそらく初めてだ。
終わりの見えない戦いのむごさ、破壊のすさまじさが連日、テレビ画面に映し出される。ロシアが侵攻後に打ち込んだミサイルの数は2千発以上。医療施設や学校を含む400カ所以上が標的になったと報道されている。国連によって地下の避難施設から救出された母と子、高齢者らは太陽の明るさを2カ月ぶりに見たと話していた。暗闇の怖さを想像して身がすくんだ。感傷的と言われても、一人で重い荷を背負い、手に持って、泣きながら避難する少年の姿を思い出すだけで何度でも目頭が熱くなる。この数日は、9日に予定されるロシアの戦勝記念行事のためのいけにえを求めるように、製鉄工場の一帯にミサイルが打ち込まれているようだ。
6日、ロシア国防省が日本海で新型対潜ミサイルの発射演習を行ったと発表した。北朝鮮は核実験再開の準備を進めているとの報道もある。世界が試されている。平和憲法を持つ、日本の私たちが試されている。(水)









