ウクライナが戦火にさらされる中、ロシアが9日に行った第2次世界大戦の対ドイツ「戦勝記念日」の軍事パレード。モスクワの記念式典で演壇に立つプーチン大統領が何を語るのか全世界の耳目が集まった。結論を言えば、目新しい重大な発表はなく、戦火拡大の兆しもうかがわれず、静観の時が流れるだけだった。
演説はおよそ10分間。プーチン大統領は、ウクライナへの軍事侵攻を「他国の脅威から守るため、唯一の正しい選択だった」と述べ、軍事作戦の正当化を改めて強調。全世界が願う「停戦」「撤退」の言葉は最後まで聞こえず、逆にロシア軍について「祖国の安全のため、未来のために戦っている」と称賛し、なお一層の結束を呼び掛けた。
ロシアは、親ロシア派住民が多いというウクライナ東部2州の完全制圧を目指し、作戦成功までは一歩も引かない構えだ。一方、一部の都市を除き壊滅的な攻撃を受けたウクライナは、欧米諸国からの支援を背景にロシア軍の完全撤退まで徹底抗戦する考え。果てしなく終わりの見えないこの戦争の不気味さを感じさせる。
解が見つからない難しい問題に、日本や欧米各国は、ロシアからの石油輸入禁止措置を決めた。時間をかけながらロシアの戦争資金調達にダメージを与え、戦争を継続する力をそいでいく作戦だ。核兵器をちらつかせる大国にどう向き合うか。単に締め付けだけではなく、外交努力も求めたい。(教)









