半世紀

半世紀

 北海道から2400キロも離れている沖縄が今年、大きな節目を迎える。米国の統治下に置かれていた沖縄が本土に復帰してちょうど50年になるからだ。この半世紀で、人々の生活や環境は劇的に変わったのだろうと想像はつくが、全く変わらないものもある。

 在日米軍基地で不祥事などがあるとクローズアップされる日米地位協定の片務性の問題だ。今年1月に新型コロナウイルスの変異株が県内で流行したのは、米軍基地発生が由来と指摘された。基地内の検疫体制の緩みが原因の一つに挙げられたが、当時は米軍人が日本に入る場合にPCR検査はせず、逆に本国に戻る場合はPCR検査が義務付けられていた。

 最も驚いたのは、在日米軍基地の周辺に米軍人が何人住んでいるのかを、基地周辺の自治体は知らないという。米軍に情報提供の義務がないためだ。コロナのような感染症対策は情報がなければ対処しようがない。

 これらは地位協定第9条の米軍施設が、日本の法律から除外されると明記されている点が障害になっている。沖縄は何十年も協定の改定を求めてきたが、日本政府はその場しのぎの運用の改善のみ。米軍基地があるドイツやイタリア、韓国も国内法が適用されている。

 十数年前に米軍基地を抱える沖縄県嘉手納町の町長に取材した言葉が心に残る。取材中も戦闘機の爆音がやまない中で「本土の人に理解してとは言わない。せめて知ってほしい」(昭)

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