近所からネマガリダケのタケノコ。声の大きい幼なじみからはギョウジャニンニクと葉ワサビが調理の指導付きで届いた。体調不良の出不精に季節の味がありがたい。
山村に生まれ、子どもの頃から季節の山菜は主食のようなものだった。子どもが間違えずに採れるものといえばウドかフキ程度。太く軟らかい物を求めて川沿いの傾斜地や家の近くの山へ出掛けた。立派なウドが採れた日は、母親が作った酢みそあえが食卓に加わったと思う。
都市の住民による山菜の乱獲が問題になったのはいつごろからだろう。30年ほど前の勤務地では、道路脇に先端部を栽培用に何度も切り取られて枯れたタラノ木が風に揺れていた。住宅近くのウドまで掘り採られ、住民が「もう、しばらく食べてないなァ」と嘆く声を聞いた。
山菜をめぐる農村と都市住民の争いは、農村の人口減少もあって、ヒトとヒグマの争奪戦という次の段階に移ったようだ。道内では昨年、ヒグマによる人身被害が続発。4人が死亡し8人が重軽傷を負った。12人の死傷は1962年に統計を開始して以来初めてだという。4月、最初に被害に遭ったのは山菜採りをしていた釧路管内厚岸町の男性だった。今年は、死亡事故こそまだないものの3月31日に札幌市で冬眠穴の調査をしていた男性2人が襲われている。
ヒトとヒト、ヒグマや多くの生き物が、互いの存在を認めて恐れ合えば、山菜の苦みはもっと和らぐかもしれない。(水)









