価値観

価値観

 「目の前にある価値観を唯一絶対と捉えてしまうのは、形成過程やそれ以外の価値観を知らないから」と語るのは「コテンラジオ」のパーソナリティーとして知られる実業家深井龍之介さん。ネット配信されている番組の内容を再構成した本がベストセラーとなっている。

 武則天からカーネル・サンダースまで歴史に名を残す人物への評価の変遷を引き合いに出し、俯瞰(ふかん)的な視点を持つ重要性を訴える。ある価値観が存在する事実を認めることと、絶対的な善と考えることとを区別しなければならない点も強調。悩みや苦しみは特定の価値観から生じ、絶対はないことを知れば楽になると説く。だがそもそも、現代社会に当たり前の価値観など存在するのか。

 例えば働き方。ワークライフバランスが重視される時代、仕事は必ずしも「打ち込むべきもの」ではなくなった。会社への忠誠心が高いモーレツ社員は減り、定年まで同じ企業に勤め続けることが当たり前ではなくなった。リモートワークが普及し「普通の勤務形態」の定義も難しくなっている。貴重な経験と銘打った下働きや長時間労働、ボランティアの要求は「やりがい搾取」「ブラック」のひと言で片付けられがちだ。長寿化で現役社会人の期間が延びていく中、100年先、1000年先の働き方はどうなっているのだろう。今の人たちのワークスタイルがその時、どう評価されているのかも興味深い。(輝)

関連記事

最新記事

ランキング

一覧を見る

紙面ビューワー

紙面ビューワー画面

レッドイーグルス

一覧を見る