「飽和潜水」あす午後開始へ 作業船、網走港に到着 知床観光船事故

「飽和潜水」あす午後開始へ 作業船、網走港に到着 知床観光船事故
飽和潜水の作業台船が網走港に到着し、機材を降ろす人たち。知床半島沖で観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没した事故で、潜水士が潜って海底にある船体の捜索などを行う=17日、網走市

 知床半島沖で26人が乗った観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没した事故で、深い海に潜水士を送り込む「飽和潜水」の資機材を載せた作業台船が17日朝、網走港(網走市)に入港した。同港で潜水に向けた準備作業をした上で、19日午後に潜水士が水深約120メートルの海底へ潜り、カズワンの船内捜索などを始める予定。

 飽和潜水を担当する潜水士は、19、20両日に行方不明者がいないか船内外を調べ、その後は船体の破損状況などを調査。結果を受け、第1管区海上保安本部などが船体引き揚げの可否を検討し、可能と判断すれば速やかに着手する。

 同本部によると、潜水士は19日午後1時に潜水を開始し、約1時間半かけて海底に到着。捜索活動は1日で最大5時間実施するという。

 通常の潜水は水深50メートル前後が限界とされる。このため、作業台船が18日夕方、網走港から現場海域に向けて出港後、潜水士3人が特殊なガスで満たされた加圧室に入り高い水圧に体を適応させる。潜水士はもう1人いるが、海に潜らないため加圧室には入らず、船上で安全管理や指示役を担う。

 一方、同本部などは17日も行方不明者12人の捜索を実施。道警も、知床半島の海岸や半島南側の沿岸部の陸上捜索を続けたが、不明者の手掛かりは発見されなかった。

 事故ではこれまで14人の死亡が確認された。北方領土・国後島の海岸では6日に女性の遺体が見つかったが、身元は分かっていない。

運航管理補助者は船長1人 乗客家族に2人と説明

 知床沖の観光船「KAZU 1(カズワン)」沈没事故で、運航会社「知床遊覧船」の「運航管理補助者」が、行方不明となった豊田徳幸船長(54)1人だけだったことが17日、分かった。国土交通省が立憲民主党のヒアリングで明らかにした。

 同社の安全管理規定に基づき、航行中に事務所にいるべき「運航管理者」の桂田精一社長(58)は事故当時不在だった。同規定ではその場合、運航管理補助者が代行を務めなければならないと定めていた。

 桂田社長がこれまで乗客の家族に説明した資料には、補助者として豊田船長と1人の社員の名前が書かれていた。しかし、同社が国に対し、同規定に添付して提出した「非常連絡表」では、補助者は空欄になっていた。

 国交省が同社に改めて確認したところ、補助者は豊田船長だけだったと認めたという。

斜里町の観光船3社監査へ 道運輸局、緊急点検で不備確認

 国土交通省北海道運輸局は17日、事故を起こした「知床遊覧船」と同じオホーツク管内斜里町で観光船を運航する4社に対し、緊急安全点検を行った。運輸局は、このうち3社について不備があったとして、関係法令に基づく監査を行うと発表した。

 点検には運輸局の職員7人が参加し、運航基準の順守状況や、船長から事務所への定点連絡が記録されているかなどを調査。運航船舶の救命設備も確認した。

 運輸局によると、大型船を運航する1社は問題がなかったが、小型船の3業者は▽定点連絡の一部記載漏れ▽輸送の安全に関わる情報の公表が不十分▽運送約款を公示していない―など計12の不備があった。3社には改めて監査を実施し、指導や処分を行う。

 沈没事故を受け、各地の運輸局は4月25日から、全国の旅客船事業者に対し緊急安全点検を実施している。「知床遊覧船」は道運輸局の特別監査中で、今回の点検の対象外という。

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