より深く、長時間作業も 工作船引き上げで活用

より深く、長時間作業も 工作船引き上げで活用

 行方不明者の捜索が難航している観光船「KAZU 1(カズワン)」の沈没事故。19日に始まった「飽和潜水」は、ダイバーが通常の潜水では不可能な深さまで到達でき、長時間の作業が可能となる手法だ。かつて海上保安庁が海底に沈んだ北朝鮮の工作船を引き揚げた際にも活用された。

 飽和潜水を行うダイバーは、高圧下で起きる「窒素酔い」防止のため、まず船上で加圧室に入る。室内は特殊なガスで満たされており、潜る深度によるが、体が適応するまで半日以上かかるとされる。ベッドやトイレもあり、作業期間中は潜水時を除き、加圧室で過ごすことになる。

 体が高圧に慣れた後、作業場所の水圧と同じ圧力を保ったカプセルで海底まで下りる。水深約120メートルの海底に沈んだカズワンの船体内外を捜索後、船上に戻ってゆっくりと減圧を行う。

 海保の潜水士が潜れる深さは60メートル程度が限界のため、飽和潜水の技術を持つ民間業者と契約した。飽和潜水の利点について、海保関係者は「より深い潜水はもちろん、気圧を保ったままカプセルで行き来するので、通常の潜水よりも作業時間を長く確保できる」と話す。

 東シナ海で2001年、北朝鮮の工作船が巡視船と銃撃戦の末に沈没した際には、飽和潜水が引き揚げ作業に用いられた。工作船は水深約90メートルの海底に沈んでおり、ダイバーが船体上の障害物除去や、船体下の海底に穴を開けてワイヤを通す作業などを行った。

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