知床半島沖の観光船沈没事故は23日で発生から1カ月が経過したが、乗客乗員26人のうち、なお12人の行方が分からない。周辺の海流は複雑で、専門家は「長期化で捜索範囲はさらに広がる」と指摘。陸上も険しい地形などに阻まれ、捜索は厳しさを増している。
稚内沖から流れ込む「宗谷暖流」は、知床岬沖を境に北東へ進む流れと、半島東部の羅臼側へ南下する流れに分岐する。事故当日前後には現場北側に反時計回りの渦も発生していた。北海道大低温科学研究所の三寺史夫教授(海洋物理学)は、海流はさらに枝分かれを繰り返す動きをすると指摘し、「事故から1カ月もたつと、どこに流れていくか想像もつかない」と話す。
海上保安庁などは範囲を広げる一方で、現場近くなどの捜索も繰り返す。不明者や漂流物は海面にとどまることなく漂い続けるため、「何度も同じ場所を捜す必要がある」(海保関係者)ためだ。
半島周辺は急激に水深が深くなる場所があることから、潜水士による捜索も困難を極める。外洋の高い波も発見を阻む一因となっている。
陸上からも悪条件が重なる。不明者が漂着する可能性のある半島沿岸部は、岩山から続く切り立った崖が入り組んだ複雑な地形だ。ヒグマも多数生息しており、上陸場所は限られる。海保関係者は「沿岸の浅瀬で潜水捜索などもしたいが、ヒグマに襲われる危険がある。人が立ち入れる場所が少ない」と話す。
















