泥沼

泥沼

 3日前、日本、米国、インド、オーストラリアの首脳が顔をそろえ、安全保障や経済について話し合う会議が東京で開かれた。その最中、ロシアと中国の爆撃機が威圧をするように日本周辺を飛行し、物騒な雰囲気になった。

 ロシアがウクライナ侵攻を始めて3カ月余り。当初はどの国も、余計な口出しをして火の粉が掛からないよう静観していたが、月日がたつにつれ、けん制や支援をするようになった。両国との輸出入が滞り燃料や食料品が値上がりするなど、影響が出始めたためで、今回の4カ国の協議もスクラムを組んだ一つのけん制行為と言える。

 戦っている両国は、尊い命や安心して暮らせる場が奪われている点で同じだが、先に攻撃を始めた国には、惨禍を招いた責任がある。それを「わが国の侵攻は正当だった」という主張を貫く考えなら、責任を問われるなど不本意。諸国から侵攻を責められる日が来ないよう、一日でも長い現状維持、つまり戦いを終わらせないつもりでいても不思議はない。

 まっとうな落としどころがないかもしれない中、他の国々はそれぞれの思惑で、どちらか一方の支援に動きだしている。それが平和へ結び付いていくならいいが、関わる国が増えれば増えるほど状況は複雑になり、解決は難しくなる。すべてを視野に入れた解決策がどこにあるのか、見つけ出すのは容易でないからだ。泥沼の様相を呈する前に、状況の好転を望む。(林)

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